養豚場で働くといふこと

養豚場の作業員である著者の日記です。養豚場に転職したい人や就職を考えている人に参考になればいいなと思って一生懸命更新しますね。

豚肉の味について

農場にお勤めの皆さんは、ご自身で育てられた肉豚の味を知っていると思います

「美味しい」

同僚もみんなそう言います。

 

けど、よく考えてみてください。

消費者(お客様)の立場からすると、

 

「美味しい・・・それで?」

 

なのです。

肉質や歯ごたえ、味などは、どれも似たようなものです。

濃く味付けしたら、臭みも消えます。

 

どうしたら、豚肉を一般のひとにより多く豚肉を食べてもらえるのか

鶏肉や牛肉に変わって豚肉を食卓に置いてもらう回数を5倍にする。

 

クックパットにレシピを出してみたことはありますか?

農場でバーベキューをして、一般のひとに振舞ったことはありますか?

その模様をyoutubeなどに流して、どれだけ反響があるか計測したことはありますか?

 

待っていてはいけない。

 

他の農場の豚の試食をして

「臭くてたべられん!」

とバカにしている場合ではありません。

 

販路を拡大したり、マーケットに問いかけたりすることが必要なんです。

 

記録は大事

改めて、記録の大切さを知った。

6月に入ってから、総産子数が減った。
それも、バラつきがある。18頭もいるし、2頭、4頭、6頭もいる。
何が原因なんだろう?オスが悪くなってきたのかな。

そう思い込んでいた。けれど、バラつき具合を見ると、原因はオスだけでは
なさそうだ。

そのときに、記録表の端っこに

「インフルエンザか? 2月5日 母豚 1頭 死亡」

と書かれている落書きが目に入った。

同僚みんなが納得した。

インフルエンザの影響で、メス、オスとも、調子が悪くなったのだ。

それも4ヶ月前の話。人間が記憶できるレベルではない。

そんなときのハードディスク

「記録表」

アナログだけど、とても役に立った。

改めて、記録の大切さを知った。

子豚の価格も高騰

6月4日現在、豚価が1キロ560円から600円で取引されている。(卸売)

 

昨年や一昨年はどうだろうか。

JACCネットでは、年度別の卸売価格をみることができる。

キロ当たり 東京 上

2013年6月 496円

2014年6月 666円

2015年6月 572円

 

専門家はこの価格を年度別で比較して、どう判断するのだろうか。

PEDが全国で出だしたのは、2013年秋頃(11月~2014年4月)から。

ひと月ほど生まれる子豚が全滅する農場もあった。

そのため、6~7ヶ月後である、2014年6月は価格が2013年に比べて

170円も高騰している。

 2015年は、PEDの影響は落ち着いたものの、豚の頭数が全国的に足らない

状況が続いているため、2013年に比べても100円以上高い。

そのため、肥育農場などから、子豚を欲しがる声も多く、子豚の価格も高騰している。例年の2倍の迫る勢いだ。

 

養豚家は「このまま高い豚価が続けば・・・」と考えているが、この間に

次の一手を打たない養豚家が多いのも事実だ。

 

自社でブランド化をしたり、エンドユーザーに直販を試みている養豚家はまだましだ。

屠場へ出荷することしか脳がない養豚家はいずれ、廃業に追いやられるだろう。

また、商売のノウハウもない自治体にせかされてブランド化に便乗するなど

もってのほかだ。

 

 

 

 

暑くなってきたので

九州が梅雨入りしました。

全国的に梅雨入りします。今朝もとても寒いです。

カーテン締めて帰ってよかった。←昨晩の判断は正しかったのだ

 

昨日までは温度が高く、暑かったです。

初産目の豚(まだ子供を産んだことがない母豚)の中で、エサ食いが悪い豚が目立ち始めました。

 

こういう場合には、思い切って、1日エサを与えません

(私たち人間も、ご飯を食べないと体が回復します)

 

これで回復してくれるといいけど・・・

 

このあと一頭ずつ見るのがたいへんだな・・・

 

 

豚舎内の人工日照時間も重要

総産子数が増えた原因として、豚舎内の日照時間も考えられます。

 

通常、夏でも豚舎外は朝5時~夕方19時までは明るいです。

時間にして14時間。これを年中16時間程度にしてやるのです。

 

以下の2つの効果がありました

秋季性流産が劇的に減った

発情がよく来るようになった

 

以上です

総産子数の増加

昨年にくらべ、総産子数の増加が圧倒的に多くなっています。

 

原因は

AIバンドの導入

AI時間の順守

AI回数削減

給餌回数の増加

ボディコン

 

以上がすべてよくなって、平均3~4頭数の総産子数の増加につながっています。

あらためて、反省・・・。

人工授精用に精子を採取するとき、オスを疑似台にのせます。

なれているオスはいいのですが、成熟していないオスをのせるのは大変です。

この大変な作業を調教と読んでいます。

調教は半年までに済ませるのが一般的ですが、諸事情で半年を過ぎる場合もあります。
(環境の変化で体調が悪いなど・・・。)

その際、まずは以下の方法を試します


1 疑似台のある個室にオスを移動させて、まず載せてみる

2 疑似台近くでメスの臭いを嗅がせてみる

3 オスの部屋に疑似台をもってくる

4 オスの部屋に疑似台とメスを持ってきて、メスに乗りかかったタイミングで
  疑似台に載せ替える。

さまざまな工夫をしても乗らないことがあります。

今日は、先輩がすごい技をやっていたので共有します。


「他のオスが疑似台に乗っているところを見せる」(疑似台に乗らないオスの隣の部屋で、)

オスが疑似台に乗っている間はとても長いです。オスは、別のオスが疑似台に乗っていると

「負けた!!くやしい!」

と思います。この状態で、乗らなかったオスの部屋に疑似台をもってくるとすんなり乗りました。

これにはあっぱれでした。

 もうこの豚は疑似台に乗らないやと諦めていたこともあって、私はとても反省しました。


今日のまとめ

工夫や知恵は、あきらめると、出てこない。